
こんにちは、古林形成外科難波心斎橋院です。
この記事でわかること

ピアスホールの近くにコリッとしたしこりを感じて、気になり出す。接客やサービス業でミナミ・心斎橋周辺にお勤めの方から、なんば駅すぐの当院にもそうしたご相談が寄せられます。「ピアスのせい?」と不安になりやすい場所ですが、あわてて押し出すのは避けたいところです。ここでは耳のしこりの正体と受診の目安を整理します。

耳たぶ・耳の後ろのしこり、その正体は何ですか?
耳たぶや耳の後ろにできる皮膚の下のしこりで多いのは、粉瘤(アテローム)です。粉瘤とは、皮膚の下の袋に角質(皮膚の老廃物)が少しずつ溜まる良性のできもの。袋は自然にはなくならず、ゆっくり大きくなります。
ただし、耳まわりのしこりは粉瘤だけではありません。ピアスの後にできるものには、傷の治りで盛り上がる肉芽(にくげ)や、体質によるケロイドもあります。見た目が似ていても、治療の考え方が変わるため区別が大切です。
| しこりの種類 | 特徴 | 目安 |
|---|---|---|
| 粉瘤 | 皮膚の下で動く丸いしこり。中央に黒い点が見えることも | 大きくなる前に受診 |
| ピアス穴の肉芽 | 穴のふちが赤く盛り上がり、じくじくしやすい | ピアスを外して相談 |
| ケロイド | 傷あとが硬く盛り上がり、かゆみ・痛みを伴う | 体質を踏まえた治療が必要 |
ピアスが耳の粉瘤の原因になるのですか?
ピアスの穴あけがきっかけで粉瘤ができることはあります。皮膚の傷の一部が内側に入り込んで袋になると考えられているためです。ただし原因はピアスだけではありません。総括医の古林も、粉瘤は「体質によるところが大きく、患者さんの生活習慣が悪いわけではない」とお伝えしています。
迷いやすいのが、ピアスによる耳たぶのトラブルとの区別です。穴のふちが赤く腫れて膿が出る場合は感染や肉芽のことが多く、皮膚の奥でコリコリ動く塊は粉瘤が疑われます。判断が難しいときは、金具を無理に入れ替えず、そのまま診てもらうのが安心です。

耳の粉瘤は、なぜ炎症前に取るのがよいのですか?
耳は、粉瘤の中でも再発しやすい部位だからです。くりぬき法で摘出した粉瘤を部位別に調べた研究では、耳の再発率は13.0%と、体の他の部位より高い傾向が報告されています(Mehrabi 2002)。袋が破れて一部が残ると、そこからまた育ってしまうためと考えられます。
もう一つの理由が炎症です。粉瘤は一度炎症(赤く腫れて痛む状態)を起こすと、袋がまわりと癒着して取り残しが生じやすくなります。古林も「出来るだけ炎症が起きる前の手術をおすすめします」と説明しています。痛みのない今のうちが、傷も再発リスクも小さくしやすい時期です。
耳の粉瘤はどのように治療しますか?
耳の粉瘤は、袋ごと摘出する日帰り手術が基本です。小さいものに向くのが、皮膚に数ミリの穴をあけて袋を取り出すくりぬき法。研究では、くりぬき法の傷は平均0.73cmと、切開法(2.34cm)より小さく抑えられると報告されています(Lee 2006)。炎症が進んだ場合は切開法を選ぶこともあります。
耳は人目につきやすく、傷あとが気になりやすい部位。当院の総括医・古林玄は、がん研有明病院での乳房再建、聖路加国際病院での顔面の手術で研鑽を積んだ日本形成外科学会専門医です。皮膚の張力を考えた形成外科的な縫合で、傷あとを目立ちにくくすることを目指します。摘出した組織は病理検査に提出し、良性かどうかの確認まで行います(Pérez-Guisado 2012)。
よくある質問(FAQ)
Q. 耳のしこりは自分で潰してもよいですか?
A. おすすめできません。無理に潰すと感染や炎症を起こし、かえって治療が難しくなります。触らずにご相談ください。
Q. ピアスは続けても大丈夫ですか?
A. しこりや腫れがある間は、その部位のピアスを外して様子をみるのが安全です。診察時に状態を確認します。
Q. 手術で耳の形は変わりませんか?
A. 袋の摘出が目的のため、耳の形を大きく損なわないよう配慮します。傷あとを目立たせない縫合を心がけています。
Q. 何科を受診すればよいですか?
A. 皮膚の袋ごと摘出し傷あとまで配慮するなら、形成外科が選択肢になります。難波・ミナミ周辺で気になる方はご相談ください。
まとめ
耳たぶ・耳の後ろのしこりの多くは粉瘤で、ピアスがきっかけになることもありますが、体質による面も大きいできものです。耳は再発しやすい部位のため、炎症前の落ち着いたタイミングでの治療が、傷あと・再発の両面で負担を抑えやすくなります。気になるしこりは潰さず、一度ご相談ください。
- Mehrabi D, Leonhardt JM, Brodell RT. Removal of keratinous and pilar cysts with the punch incision technique: analysis of surgical outcomes. Dermatol Surg. 2002;28(8):673-677.
- Lee HE, Yang CH, Chen CH, et al. Comparison of the surgical outcomes of punch incision and elliptical excision in treating epidermal inclusion cysts: a prospective, randomized study. Dermatol Surg. 2006;32(4):520-525.
- Pérez-Guisado J, Scilletta A, Cabrera-Sánchez E, et al. Giant earlobe epidermoid cyst. J Cutan Aesthet Surg. 2012;5(1):38-39.
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
記事監修:古林 玄(日本形成外科学会専門医)





