良性腫瘍|大阪皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科難波院

〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波3丁目5-1 ナンバ一番ビル2階A号室
TEL. 06-4394-7413
   
ヘッダー画像

良性腫瘍

良性腫瘍|大阪皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科難波院

病気や症状で調べる
病気や症状で調べる

良性腫瘍ついて

良性腫瘍とは

皮膚やその下の皮下組織の細胞が増殖して、腫瘍ができることがあります。医学的にこの腫瘍を「皮膚腫瘍」を呼び、患者さんは皮膚にできた「できもの」、あるいはコブのような「しこり」として自覚します。
皮膚腫瘍は、大きく「良性」と「悪性」に分けられます。腫瘍の成長が抑えられ、腫瘍細胞が体の他の部分に広がっていかない場合は、その皮膚の増殖物(腫瘍)はがんではなく、良性腫瘍と呼ばれます。一方、腫瘍の成長が抑えられない場合は、その腫瘍は悪性であり、隣接する正常な組織に入り込んで浸潤したり、体の他の部分に転移したりします。
皮膚腫瘍は、隆起したものもあれば平坦なものもあり、色も暗褐色、黒色、肌色、赤色など様々です。生まれつきみられる場合もあれば、生まれた後に発生する場合もあります。
皮膚にできる腫瘍の大半は良性で、放っておいてもすぐには命に別状はありません。しかし徐々に増大して整容的な問題(変形)や機能障害(運動障害や知覚障害)を引き起こしたり、中には悪性に転化したりする場合もあります。
皮膚腫瘍を自覚した場合、医師の診察を受けてきちんと判定してもらうことが大切です。その診断の確定には組織検査(皮膚生検検査)が必要になりますが、ダーモスコピー検査にてほとんどの腫瘍が診断できます。

表皮母斑(ひょうひぼはん)

出生時、または乳幼児期(生後2~3カ月ころ)に出現する褐色のざらざらとした母斑(あざ)です。表皮の過形成によるもので、通常、顔、頚部、体、手足にみられることが多く、帯状に細長く広がって発生します。新生児の1000人に約1人の確率で発生するといわれていますが、原因は不明です。自然消退することはなく、体の成長とともに徐々に母斑の範囲も大きくなりますので、治療の適応となります。治療は外科的切除が原則で手術による切除か、高周波メス、超音波メス、炭酸ガスレーザーなどで盛り上がった表皮部分を削り取ります。削ったところは浅い擦り傷のようになっていますので、軟膏処置を行います。傷は1週間ほどで乾き、しばらく赤みが目立ちますが徐々に目立ちにくくなってきます。

粉瘤(アテローム)

粉瘤(アテローム)は、表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれる良性の皮下腫瘍です。体表のどこにでもできますが、発症しやすいのは顔、首、背中、耳のうしろなどです。皮膚の上皮成分が皮下に落ちて袋状の組織を形成し、その中に垢(角質)や皮脂といった老廃物が溜まることでできます。発症の要因としてウイルス感染や外傷、体質などが考えられていますが、詳しい原因はわかっていません。
はじめは数ミリ程度の盛り上がりで、ほとんど目立つことはなく、ニキビやしこりのように感じます。しかし、放っておくと皮膚の隆起が認識できるくらい大きくなり、悪臭を放ったり、細菌感染や圧迫などで炎症を起こしたりすることもあります。
粉瘤はニキビや吹き出物などと誤認してしまうことがありますが、ニキビのように自然に治癒することはなく、手術を行わないかぎり根治しないという特徴があります。ご自身で内容物を出そうとして圧迫すると、袋が破れ、炎症を起こす恐れがあるばかりか、脂肪組織内に内容物が散らばり慢性化してしまうことがありますので、無理に排出することは避けて早めに受診してください。

皮様嚢腫(ひようのうしゅ)

目や鼻の周囲、耳後部、口腔底など顔面領域に好発する円形の良性腫瘍です。全身のどこにでも発生しますが、皮膚でみられるものは後腹膜や卵巣に生じるものとは異なり、皮膚成分のみで構成され、皮下皮様嚢腫という名称で区別されています。顔面では眼窩上外側の発生が最も多いとされ、出生後、早期に見つかるケースもありますが、ゆっくり拡大し幼少期以降に初めて気付かれることも少なくありません。
無痛性で皮膚面より半球状に盛り上がった皮下腫瘍であり、皮膚との癒着はありませんが、骨膜との癒着がある場合が多く、可動性は通常不良です。腫瘍により圧迫された骨が薄くなり陥凹変形していることもあります。嚢腫の内容は、皮脂に富む角質と毛髪を有する場合が多く、チーズ様、クリーム様などと表されます。
治療は手術による摘出が原則です。嚢腫が皮下に限局して存在する場合には単純摘出で再発もほとんどなく良好な結果が得られます。しかし、脳内の連絡が疑われる場合は、CTやMRI検査などを行い、手術方法を選択しなければなりません。脳内に及んでいる場合、開頭が必要になることもあります。

稗粒腫(はいりゅうしゅ)

稗粒腫には、小児や思春期以降の女性の顔に好発する原発性稗粒腫と、水疱症、熱傷瘢痕、放射線皮膚炎などに続いて出現する続発性稗粒腫があります。いずれも下まぶたの表皮に生じることが多く、1~3ミリの常色(肌色)から白色がかった半球状の丘疹で、角質を内包しています。
自然治癒することも多く、経過観察する場合もありますが、若い女性に多くみられることから、整容上の目的で治療を行うこともあります。治療は、皮内注射針で皮膚に微小切開を加え、針先で内容物を摘出するか、炭酸ガスレーザーで穴を開け、真皮上層のレベルまで嚢腫壁ごと蒸散させる方法があります。

汗管腫(かんかんしゅ)

下まぶたに好発する1~2ミリの多発性の小結節で、常色(肌色)の隆起がブツブツと出現し、癒合していることもあります。下まぶたのほか、頬部、前胸部、腹部、外陰部などに見られることもあります。汗管腫は、エクリン汗腺という汗を出す管の細胞が増殖することで起こります。症状はありませんが自然に消えることは殆どありません。女性に多く、顔面にある場合は整容面で問題になることがあり、炭酸ガスレーザー等の治療を行うこともあります。

脂腺母斑(しせんぼはん)

先天性の皮膚奇形であり、黄色のあざに見えることが多く、頭部被髪部や顔にできやすい傾向があります。初期は皮膚とほぼ同色であるため、見分けがつきにくいですが、頭部にあると脱毛斑に見えます。表面はザラザラすることが多いですが、平坦な場合もあります。臨床症状によって3期に分類され、出生時は、円形脱毛症様の蒼白から黄色調に母斑になります(第1期)。年齢を重ねるとともに隆起して次第にあざがイボ状となり、色調に褐色を帯びます(第2期)。思春期ころになると第2期の病態が強調され、成人(30歳)以降になると、まれに腫瘍が発生したり(第3期)、悪性化したりすることもあるため、通常、小中学生以降での切除が考慮されます。
母斑の完全な切除により続発性の腫瘍の発生は見られなくなります。しかしながら切除縫合部では線状の瘢痕が残り、頭部では瘢痕に沿った脱毛が生じます。また植皮術が必要な場合には植皮部の色素沈着、拘縮と採皮部の瘢痕が残ることになります。

石灰化上皮腫(毛母腫)

毛穴の深部には毛母(もうぼ)と呼ばれる毛を作り出す細胞があります。その細胞から石灰化が起こり、皮下に石のような硬いしこりを認めるのが石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)です。顔、首、腕などに好発する良性の皮下腫瘍で、大きさは0.5~3センチのものが多く、水ぶくれ(水疱)のように見えたり、大きくなると皮膚の薄い部分では腫瘍が透過し、黄白色や青黒い色に見えたりすることもあります。通常は単発で発症しますが、多発する症例では筋緊張性ジストロフィーを合併することがあります。
基本的には無症状ですが、しこりを押すことで痛みやかゆみを伴うことがあります。また、細菌感染や異物反応を起こすことがあり、その際には痛みやかゆみが強くなり、状態によっては皮膚に穴が開いてしまうケースもあります。この場合、早急に手術を受けてきちんと除去することをおすすめします。
詳しい原因は分かっていませんが、子どもによくみられ、若干、女性に多い傾向があります。見た目が丸いため、粉瘤や脂肪のかたまりと認識されることも多いです。

ほくろ

ほくろは良性腫瘍の一種で、表皮にメラニン色素を生成するメラノサイトが集まり、黒色斑になります。隆起したもの、平らなもの、茶色(褐色)のものから黒いもの、形状も、円形や楕円など、その見た目は様々です。だれにでも1つはあり、チャーミングポイントとしても挙げられるほど身近なほくろですが、まれに悪性が含まれているため、異変を伴うものには注意が必要です。
ほくろと皮膚がんの鑑別には非常に難しい側面があります。そのため診療においては患者様の症状や状況をじっくりとうかがったうえで、検査を行います。ダーモスコピーと呼ばれる皮膚拡大鏡を用いて検査を行いますが、そこで悪性の疑いが強く、リスクが高いと判断した場合は、手術で切除し病理検査を行うことで診断が確定します。
当院では患者様の症状やご希望に合わせて適切な治療法をご提案します。ご自身のほくろが皮膚がんの特徴と似ていたり、ほくろの異変に気付いたりした場合は、お早めに診断を受けることをおすすめします。

扁平母斑(へんぺいぼはん)

多くの扁平母斑は出生時に存在するか、あるいは生後比較的早い時期に出現しますが、思春期になって発生する場合もあります(遅発性扁平母斑)。扁平な茶色のあざで、表皮の肥厚と表皮突起が認められ、メラニンが皮膚の浅いところに増加してできます。ほくろのように盛り上がることはなく、盛り上がりの無いあざと言う意味で扁平母斑と呼ばれています。ミルクコーヒーに似た色でカフェオレ班とも呼ばれます。
先天性、遅発性の扁平母斑とも、悪性化することは通常ありません。そのため、治療の中心は見た目を良くすることにあります。扁平母斑の治療は、レーザー治療から始めます。

神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)

神経鞘腫は、神経の周りを覆っている神経鞘(神経のさや)から発生する良性の腫瘍で、抹消神経のシュワン(Schwann)細胞が元になっていることからシュワン細胞腫とも呼ばれます。多くの場合、皮下組織や筋肉のような軟部組織に発生し、硬くて弾力のある球状腫瘍として触れます。脳や脊髄、消化管などに発生することもあります。
発生部位によって症状は異なりますが、皮下にできると、圧迫によって痛みを伴うようになるため、外科的治療が検討されます。大きな神経の場合、術後に神経障害が起こることがあるため、腫瘍摘出では、温存すべき神経と腫瘍とを剥離する際には拡大鏡などを使用してより慎重に進める必要があります。

神経線維腫(しんけいせんいしゅ)

皮膚や皮下組織にできる常色~淡い紅色の柔らかい腫瘍で、大きさは様々です。ほとんどの患者さんは思春期ころから少しずつできはじめ、年齢とともに増加します。単発性のものと多発性のものがあり、多発性の場合は神経線維腫症Ⅰ型(レックリングハウゼン病)の可能性が考えられます。痛みなどの症状はなく、悪性になることもない良性の腫瘍ですが、整容的な観点から摘出することが多く、外科的な切除を行います。

皮膚線維腫(ひふせんいしゅ)

成人女性の腕や大腿部、足に発症することが多い数ミリから2センチ程度の良性の腫瘍です。見た目は肌色から茶色(褐色)で、皮膚の表面が少し盛り上がっていることが多く、触ると皮下にやや硬いしこりをみとめます(皮膚の浅い部分にボタンを入れた感じと表されます)。痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありませんが、患部をつまむと痛みを生じたり、発症部位によっては、衣類が擦れて不快感を伴ったりすることがあります。原因は明らかになっていませんが、虫刺されや小さな傷、遺伝が関係すると考えられています。皮膚線維腫では真皮から皮下に膠原線維、線維芽細胞、組織球の増殖が見られます。表皮は肥厚して基底層のメラニン顆粒の増加が見られます。毛細血管の増殖が強い場合もあります。腫瘤が硬く、膠原線維と線維芽細胞の増殖が目立つものを「fibrous type(ファイブラスタイプ)」と呼び、腫瘤が軟らかで組織球の増殖が目立つものを「cellular type(セルラータイプ)」と呼びます。
多くは痛みなどの症状はなく、悪性化することもないため、経過観察をしても問題ありません。しかし大きいものや、増加傾向にあるものは、まれにDFSP(隆起性皮膚線維肉腫)という悪性腫瘍との鑑別が必要になるため、病理検査を行います。

イボ

イボは、数ミリから数センチ程度の盛り上がったできもので、ウイルスや加齢など、発生する原因はいくつかあり、見た目や種類も様々です。炎症を伴ったり、日常生活に支障をきたしたり、放置すると大きくなるタイプのイボもあります。大きくなればそれだけ綺麗に直すことが難しくなりますので、気になるイボがありましたらお早めにご相談ください。

イボ(尋常性疣贅:しんじょうせいゆうぜい)

最も一般的なイボで、皮膚の小さな傷からヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚深層に感染することで発症します。通常、痛みやかゆみは伴いませんが、放置するとさらに増えたり、人にうつしたりすることがあります。形状は様々です。

水イボ(伝染性軟属腫:でんせんせいなんぞくしゅ)

ポックスウイルスの感染によって生じるイボで、6歳以下の子どもに多くみられます。胸やおなか、脇の下といった皮膚の薄いところにできやすく、大きさは数ミリ以下がほとんどで、形状は光沢のあるドーム状です。掻くことで内容物が皮膚に付着すると次々とうつっていくため、集団生活を送っているお子さんは積極的に治療を受けることが大切です。

老人性イボ(脂漏性角化症:しろうせいかくかしょう)

紫外線による肌の加齢性変化が原因と考えられているイボで、中年以降にみられることが多いですが、20代で発症する方も少なくありません。顔面、頭部、胸元などにできやすく、茶色や黒ずんだ茶色に盛り上がり、類円形の腫瘤として認められます。加齢により増加しやすく、シミが隆起して老人性イボになることもよくあります。

首イボ(軟性線維腫:アクロコルドン)

非感染性である脂漏性角化症が、皮膚が薄く柔らかい首や脇の下、鼠径部などに生じると、有茎性に盛り上がった小さなイボとして現れることがあります。これを首イボ(アクロコルドン)といいます。
首イボは、とくに心配なイボではありませんが、衣類で擦れたり、ねじれたりすることで痛みや炎症を起こすことがあります。肥満の人や中高年以降に好発し、皮膚の老化現象の一つと考えられています。皮膚科や外科では、茎部を剪刀による切除、あるいは電気焼灼する場合も多いですが、形成外科的には瘢痕を考慮し、できるだけメスを用いて茎基部を皮下組織に達するまで切除し、縫合します。

肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)

外傷や熱傷、手術などにより皮膚に創傷が生じた場合、正常な創傷治癒過程をたどれば最終的には軟らかく平坦な成熟瘢痕となって落ち着いていきます。しかし、創傷が深達性でかつ広範囲であったり、何らかの原因で創傷治癒機転が遷延したりすると、硬く盛り上がった状態になることがあります。これを肥厚性瘢痕といいます。非常によく似た臨床像にケロイドがありますが、これら二つは異なる疾患です。
肥厚性瘢痕の特徴としては①全身のどこにでも発生する、②受傷範囲を超えない程度で隆起する、③受傷部周辺への炎症性発赤はない、④厚みにもよるが半年から数年で扁平化する、などが挙げられます。とくに②と③はケロイドとの鑑別に重要です。
治療は保存的治療として、内服療法、副腎皮質ステロイド含有テープ貼付、圧迫療法などがあります。それ以外に外科的切除があり、程度や治療経過に応じて併用します。

ケロイド

ケロイドは、傷を治すために必要な炎症が過剰に続くことで、線維成分が過増殖して生じます。痛みやかゆみの症状が出現するだけでなく、見た目も気になるとても不快な病態です。放置して軽快することはなく、もとの傷の範囲を超えて広がっていくという特徴があります。「ケロイド体質」という言葉の通り、個人の体質が関連していることが知られています。また、症状の程度には個人差があり、ひどく盛り上がる人もいれば、ややミミズばれ程度の人もいます。手術や外傷、BCG接種痕やピアスなどが原因になることが多いですが、ニキビや虫刺されなど小さな傷で発症することもあります。
主な症状は、その部位もしくはその部位を含めた周辺が赤く腫れて盛り上がり、痛みやかゆみ、ひきつれ感が伴います。前胸部、肩まわり、上腕、下腹部、恥骨上部、耳などに生じやすく、手掌や足底、顔面、頭部、下腿などには発生しにくいといわれています。

脂肪腫(リポーマ)

脂肪腫(リポーマ)とは皮下に発生する良性の腫瘍のことで、柔らかい部位にできる軟部良性腫瘍の中で一番多くみられます。身体のどこにでも発生する可能性がありますが、背部、肩、頚部(とくに後頚部)などに現れることが多く、上腕、でん部、大腿など四肢にみられることもあります。痛みやかゆみなどの症状は無く、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりを認めます。大きさは数ミリ程度の小さなものから10センチ以上に及ぶものまで様々で、放置していると徐々に大きくなり、目立ってしまうことがあります。一般的に発症には、肥満や糖尿病、遺伝などが関係しているといわれていますが、現在のところこれらに明確な根拠はなく、詳しい原因は不明です。
脂肪腫は自然に治ることはありません。内服薬や外用薬で治癒することもなく、内容物が液体状ではないため、注射器を使って吸い出すこともできません。根治には摘出手術が必要になります。
脂肪腫は大きくなると、その分、手術や費用面で患者様の負担も大きくなってしまいます。また、脂肪腫自体は良性の腫瘍ですが、見た目や症状がよく似た悪性腫瘍もあるので、小さいしこりであっても気付いた際は放置せず、専門の医師に診てもらうことが重要です。

皮膚平滑筋腫(ひふへいかつきんしゅ)

皮膚平滑筋腫は皮膚の中で発生する平滑筋組織からの良性腫瘍で、通常は皮膚表面にしこりや腫瘤が現れます。硬いことが多く、触れたときに圧痛を伴うことがあり、また、皮膚の色調や質感に変化をもたらすこともあります。
分類としては以下があります。

①立毛筋由来平滑筋腫:体幹や四肢に小結節として触れます。単発性と多発性があります。
②陰部平滑筋腫:大陰唇、会陰、陰茎、乳頭、乳輪部に生じます。
③血管平滑筋由来平滑筋腫:下肢伸側に多く、痛みに関してはあるものとないものがあります。

皮膚平滑筋腫の治療法は、症状の重症度、腫瘍の部位や大きさ、健康状態などを総合的に勘案して決定します。外科的切除では、良性であるため辺縁切除で腫瘍を取り除きます。多発症例に関しては疼痛のある部位を切除するなど対症的な治療を行います。小さな皮膚平滑筋腫や症状のない場合は、経過観察が行われることもあります。

外骨腫(がいこつしゅ)

原発性骨腫瘍のなかで一番多いとされている良性の腫瘍です。骨幹端部(骨の端)にツノのように膨隆する骨腫瘍で、表面が軟骨で覆われており、骨軟骨腫(こつなんこつしゅ)とも呼ばれています。形成外科領域では主に前額部(おでこ)や頭蓋、爪の下によくみられます。
前額部や頭蓋では痛みはありませんが、整容面の問題で切除を希望される患者様が少なくありません。骨に生じる腫瘍ですが、基本的には手術による摘出を行います。局所麻酔下でツチとノミを使用して摘出することができます。摘出した組織は病理検査を行います。創部は形成外科的に細かく縫合することで、できる限り目立たないようにします。

毛細血管拡張性肉芽(もうさいけっかんかくちょうせいにくげ)

皮膚の小さな傷や細菌感染が引き金となり、毛細血管が拡張・増殖してできる良性の皮膚腫瘍です。有茎性に盛り上がった鮮紅色から暗赤色の軟らかい腫瘤で、一般的に成長は早く、2~3週間で大きさの拡大は止まります(直径5ミリ~2センチ)。痛みやかゆみはありませんが、毛細血管が豊富なため、わずかな刺激で出血し潰瘍を形成するという特徴があります。出血はとまりにくく、何度も出血を繰り返すことから生活に支障をきたすことがあります。小児の場合は顔面に好発し、成人では手指、四肢、体幹に好発します。妊娠中に発生頻度が高いことから、女性ホルモン(エストロゲン)との関連も考えられています。
小さな腫瘍の場合、ステロイド軟膏の塗布により、消退することもあります。そのほかの治療法には炭酸ガスレーザー、電気焼灼、外科的切除などがあります。

グロムス腫瘍(ぐろむすしゅよう)

比較的まれな血管系腫瘍で、紫青色あるいは赤色の小腫瘤を認めます。手足にみられますが、とくに手指の爪下に好発します。指の腹側にできることもあります。激痛を伴うことが多く、時に拍動痛を伴い、圧迫や寒冷などで痛みが増強する傾向があります。
小さなものや爪下のものは見た目での診断が難しく、痛みなどの症状があり、肉眼で腫瘍の確認ができない場合は、MRIによって診断します。
治療は手術による摘出で、爪下の場合、爪全体を除去し、爪床を縦に切開して腫瘍にアプローチします。爪床は薄いため、愛護的に操作しながら腫瘍の切除を進めていきます。

ガングリオン

手首の関節の近くにできることが多い腫瘤です。米粒大からピンポン玉ぐらいまでの大きさで、柔らかいものから硬いものまであります。手首の関節には関節を包む関節包があり、その中は潤滑油としての働きがある滑液(かつえき)で満たされています。この滑液が何らかの理由によって外へ漏れ出し、袋状の腫瘤を皮下で形成して腫れとなって表皮に現れるのがガングリオンです。手首の関節に発生することが多いですが、指の付け根の腱鞘に生じるケースもあります。多くの場合、強い痛みはありませんが、神経が圧迫されると痛みを感じることがあります。
治療は保存療法または外科的な摘出になります。注射で内容物を吸引する穿刺吸引で再発を繰り返す場合に、手術による治療を考慮します。

毛細血管奇形(もうさいけっかんきけい)

先天性の赤い平坦な「あざ」で、赤あざと称される病変の代表的な疾患です。以前はポートワイン血管腫、単純性血管腫、火炎状母斑などの呼称で呼ばれていました。
毛細血管は動脈と静脈の間にあり、皮膚に広がる細く薄い管ですが、その毛細血管が異常に増えて集まってできた病態です。ごく小さな斑から顔面、体幹、四肢の大部分を占めるものまで認められます。自然に退縮することはなく、ゆっくり大きくなったり色が濃くなったりすることがあります。加齢に伴って暗赤色となり、中年以降には病変内に結節や、腫瘍性の隆起性病変を生じることがあります。治療としては、状況に応じてレーザー治療や、手術的な治療などが行われます。

静脈奇形(じょうみゃくきけい)

静脈奇形は、静脈の成分が拡張・腫瘤化したもので、大小不同の血管腔が皮下や筋肉内に増生する血液貯留性の病変です。部位、大きさ、深さは様々で、体表面から青く透けてみえることがあります。一般的な症状としては、起床時の痛み、手足の場合は下ろすと血液貯留量の増加に伴い膨らむことが多く、静脈石を触れたり痛みを生じたりすることがあります。先天性で自然に退縮することはなく、生涯を通じて次第に大きくなり、女性の場合、妊娠や閉経後にとくに増大します。
治療方法は部位や大きさによって異なりますが、MRIや超音波などの画像検査を行って最適な治療方法を検討します。治療には手術や特殊な薬を病変の中に注入して小さくする硬化療法などがあります。

動静脈奇形(どうじょうみゃくきけい)

動静脈奇形は、局所的な動静脈の形成異常によって腫瘤や肥大を生じる血管性病変です。通常の血管構造(動脈⇒毛細血管⇒静脈)をとらず、動脈から静脈に抜けてしまう非常に血流の速い病変で、病変内には拡張・蛇行した異常血管の増殖が認められます。
多くの病変は進行性であり、赤あざや拍動性のコブからはじまります。進行して大きくなると痛みや出血を伴うことがあり、血流が多くなると心臓に負担がかかります。
根本的治療は完全切除ですが、大きな病変の場合、術中出血の危険があるため術前に栄養血管を詰める動脈塞栓術が必要になることがあります。

リンパ管奇形(リンパ管腫)

広い意味では血管奇形の一つですが、従来はリンパ管腫と呼ばれ、拡張したリンパ管の大きさによって嚢胞状、海綿状、単純性あるいは限局性として症例が報告されています。つまり血管ではなくリンパ管に起こる疾患です。多くは先天性で、胎生期のリンパ管が形成される時期に何らかの異常が生じて起こると考えられていますが、原因はわかっていません。
首や腋の下に出現することが多く、風邪をひいた時などに炎症(熱発と腫脹と痛み)を伴うことがあります。首に生じた場合は、気道を圧迫し呼吸困難となり、呼吸管理など重症管理が必要となることもあります。一方、リンパ管奇形のなかにはとくに症状を認めないものもあり、そうした場合には定期的な経過観察を行います。
何らかの症状がある場合には、手術により切除することもあります。特殊な薬を用いてリンパ管をつまらせる硬化療法、抗がん剤による治療、インターフェロン療法、ステロイド療法、レーザー焼灼法などが行われることもあります。

乳児血管腫(にゅうじけっかんしゅ)・先天性血管腫(せんてんせいけっかんしゅ)

乳幼児の血管性腫瘍で最も頻度が高いのが乳児血管腫です。イチゴ状血管腫ともいいイチゴのように赤く盛り上がった形状になります。血管を構成する3層構造(内膜、中膜、外膜)のうち、内膜を作る細胞(血管内皮細胞)が自然増殖し、さらに自然退縮する腫瘍です。皮膚表面の血管内皮細胞の増殖だけで深部は増殖しない局面型、皮膚表面と深部と両方の血管内皮細胞が増殖する腫瘤型、深部の血管内皮細胞だけが増殖する皮下型の3タイプに大別されます。
多くは生後数日から数週で発症します。皮下病変のみの場合もありますが、多くは鮮紅色の局面として発見され、徐々に皮膚皮下組織で増殖し、表皮変化のあるものでは「イチゴ状」になります。1歳頃にピークに達し、その後、徐々に退縮して色が落ち着いてきます。多くの場合、小学校低学年(7歳前後)くらいまでに消失に至ります。
自然退縮の期待できる腫瘍で、多くは無治療で軽快しますが、大きな病変、とくに腫瘤型では、出血、潰瘍、瘢痕、毛細血管拡張、変形、遮薇性弱視などをきたすことがあり、症例に応じて治療が必要になることがあります。治療としては内服治療や色素レーザー治療があります。
先天性血管腫は、胎生期に増殖のピークを迎えた特殊な血管腫です。出生後急速に退縮するものと退縮傾向を示さないものがあります。先天性血管腫は乳児血管腫に比べて発生頻度はまれです。

pagetop