イボ
イボ
イボとは、数ミリから数センチ程度の盛り上がった病変のことです。ありふれた皮膚の疾患ですが、ウイルスや加齢など、発生する原因はいくつかあり、種類も様々です。イボは見た目が気になるだけでなく、なかにはかゆみや炎症を伴ったり、衣類に引っかかったりするなどして、日常生活に支障をきたすこともあります。放っておくと大きくなるタイプのイボもあり、大きくなればそれだけ綺麗に治すことが難しくなります。
イボの種類や大きさ・数といった症状、通院が可能な頻度、年齢などによって、治療法も異なります。そのため当院では、治療を開始する際に、患者様一人ひとりに適した治療法を検討し、ご提案しています。気になるイボがありましたら、お気軽にご相談ください。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)は最も一般的なイボで、皮膚にできた小さな傷からヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚深層に感染することで発症します。ウイルス性疣贅とも呼ばれます。通常、痛みやかゆみは伴いませんが、放置するとさらに増えたり、人にうつしたりすることがあります。小児からご年配の方まで発症しますが、とくに学童期のお子さんに多い傾向があります。
形状は様々で、手足の指や膝にできた場合は、硬く、あまり盛り上がらず表面がざらざらとした状態のものが多いです。足の裏など圧力がかかる場所にできると扁平になったり、顔や首には硬く細長い糸状の突起として現れたりすることもあります。複数のイボが癒合して敷石状に現れるケースもあります。ウイルスによってイボができ、放置してしまうと、大きくなったり、掻いて治そうとするとかえってウイルスが拡散してしまったりすることもよくあります。イボを見つけたときは、お早めにご相談ください。
老人性イボは医学的には脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)と呼びます。紫外線による肌の加齢性変化が原因と考えられている良性の皮膚腫瘍で、中年以降にみられることが多いですが、20歳代で発症するケースも少なくありません。
顔面、頭部、胸元などにできやすく、茶色や黒ずんだ茶色に盛り上がり、類円形の腫瘤として認められます。サイズは様々で、表面はざらざらとしたイボ状の感触です。老人性色素斑(日光性のシミ)から発生することもよくあります。悪性化することはありませんが、見た目上、皮膚がんとの区別ができないことがあり、しばしば鑑別診断が必要になります。また、数カ月のうちに全身に多発し、かゆみを伴う場合は、内臓悪性腫瘍合併(レザー・トレラ徴候)の可能性があり、精密検査が必要になります。老人性イボの保険が適用される治療には、手術による切除があります。
一般的にイボと呼ばれるものには、ウイルス感染(尋常性疣贅・伝染性軟属腫)によるものと、非感染性(脂漏性角化症:老人性イボ)のものがあります。非感染性の脂漏性角化症が、皮膚が薄く柔らかい首や脇の下、鼠径部などに起こると、有茎性に盛り上がった小さなイボとして現れることがあります。これを首イボ(アクロコルドン)といいます。原因には皮膚の老化や紫外線、摩擦の影響などが考えられています。
首イボは非感染性の良性腫瘍であり、とくに心配なものではありませんが、衣類で擦れたり、ねじれたりすることで痛みや炎症を起こすことがあります。また、加齢とともに、だんだんと数が増えてくることがあり、襟のあいた服を着た時に見えたり、タートルネックを着るとチクチクしたり、ネックレスが引っかかったりして気になる、という方も多くいらっしゃいます。
主な治療方法には、特殊なハサミを用いた切除法などがあります。小さなイボで数が少ない場合は、当日の処置が可能ですが、数が多い場合は日にちを分けて1~2週おきに処置をします。