
こんにちは、古林形成外科難波心斎橋院です。
この記事でわかること

くりぬき法は傷が小さく目立たない部位に適し、切開法は大きな粉瘤や炎症がある場合に適しています。どちらが適切かは診察で判断します。
粉瘤の手術を調べると「くりぬき法」と「切開法」の2つが出てきます。「どちらがいいのか」は多くの方が気にされる点ですが、正直に言うと、どちらが優れているという話ではありません。状況によって最適解が変わります。
くりぬき法とは
トレパンという円形の器具で3〜5mm程度の小さな穴を開け、内容物を絞り出したあとに袋を摘出する方法です。
強み:傷が小さい(3〜5mm程度)。縫合が不要なケースもあります。手術時間は5〜20分程度。顔・首・耳まわりなど目立つ部位では、傷跡を最小限に抑えられます。
弱み:袋が破れやすい状態(大きい・炎症後)では取り出しにくいことがあります。
切開法とは
粉瘤の直上を直線状に切開し、袋ごと丸ごと取り出す方法です。
強み:袋を確実に完全摘出できます。再発リスクが低く、大きな粉瘤や炎症後の粉瘤に適しています。
弱み:傷がくりぬき法より長くなります。ただし形成外科的縫合により、傷跡は最小化できます。
どちらを選ぶか—術式選択の考え方
当院の総括医・古林玄は、日本形成外科学会専門医として、グループ全体で月間500件以上の粉瘤手術実績を持ちます。その経験から、術式選択の基準を以下のように整理しています。
| 状況 | 推奨される術式 |
|---|---|
| 顔・首など目立つ部位・小〜中サイズ | くりぬき法 |
| 背中・体幹など非露出部・大きめ | 切開法 |
| 炎症が治まった後の根治手術 | 切開法 |
| 炎症中(急性期) | 切開法で1回摘出(麻酔効果低下・再発・傷跡のリスクあり) |
ただし、これはあくまで目安です。「マニュアル通りではなく患者様一人一人にあった治療」が当院の方針です。同じ部位・同じサイズでも、皮膚の状態や袋の深さによって判断が変わります。診察で実際に確認した上で、最適な術式をご提案します。
学術的に見た両術式の比較
PubMedに掲載された無作為化比較試験(Lee et al., 2006)では、くりぬき法は切開法に比べて創長が平均0.73cm(切開法は2.34cm)と有意に短く、手術時間も短かったと報告されています。再発率に有意差はなく、顔など美容的に気になる部位の1〜2cmの粉瘤にはくりぬき法が最適とされています。
一方、Mehrabi et al.(2002)の研究では、くりぬき法の再発率は3.6〜8.3%であり、大半は術後1年以内に再発することが示されています。定期的な経過観察の重要性を示すデータです。

よくある質問(FAQ)
Q. 炎症中でも手術できますか?
A. はい、当院では炎症中でも1回で摘出する手術を行っています。ただし、炎症がある状態では麻酔が効きにくくなる・再発しやすくなる・傷跡が残りやすくなるといったデメリットがあります。「今すぐ治したい」という気持ちはよくわかります。リスクを十分にご説明した上で対応しますので、まずはご来院ください。
Q. くりぬき法で取った後、傷はどうなりますか?
A. 穴は数日〜1週間程度で自然にふさがります。縫合しない分、抜糸の手間がなく、回復も早い傾向があります。
Q. どちらの手術も保険適用ですか?
A. はい、両術式とも保険適用です。費用の目安は粉瘤の診療ページでご確認いただけます。
まとめ
くりぬき法・切開法のどちらが「正解」かという問いに、一律の答えはありません。部位・大きさ・炎症の有無・皮膚の状態を総合して、最適な術式を選ぶことが大切です。「傷を最小限に、でも確実に取り切る」——その両立を目指しています。
なんば駅出口すぐの当院は、土日祝も診療しております。WEB予約はこちらから。
- Lee HE, et al. Comparison of the surgical outcomes of punch incision and elliptical excision in treating epidermal inclusion cysts: a prospective, randomized study. Dermatol Surg. 2006;32(4):520-5.
- Mehrabi D, et al. Removal of keratinous and pilar cysts with the punch incision technique: analysis of surgical outcomes. Dermatol Surg. 2002;28(8):673-7.
- 日本形成外科学会.
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
記事監修:古林 玄(日本形成外科学会専門医)



