眼瞼下垂の治療
眼瞼下垂の治療
患者様一人ひとりに最適なまぶたの治療をめざします。
眼瞼下垂手術は、まぶただけの局所麻酔で、手術時間も20〜30分程度で終了しますので日帰りで受けていただくことが可能です。翌日から運転や事務仕事などもでき、仕事や生活への影響を最小限にとどめた負担の少ない手術です。
局所麻酔の痛みをできる限り軽減するために、極細針の採用や麻酔薬の工夫を行っています。通常、局所麻酔薬には1%もしくは0.5%のエピネフリンを配合したキシロカインが用いられますが、pH3.5~5の酸性に偏っています。注入する薬剤は中性に近いほど痛みの軽減が期待できますので、当院では7%メイロンを混ぜ合わせることで中性(pH7)に近づけています。極細針とともに、こうした麻酔薬の工夫により、麻酔注入時の痛みを軽減しています。切開部は髪の毛よりも細い糸を使用し、丁寧な縫合をいたします。
手術後の綺麗な仕上がりを追求するだけではなく、患者様の痛みを最小限にとどめるべく、治療を行います。
眼瞼下垂症の手術は、主に挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)・挙筋短縮術(きょきんたんしゅくじゅつ)、眼瞼皮膚切除術(がんけんひふせつじょじゅつ)、前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)があり、状態に応じて適応を検討します。
収縮力の低下した挙筋腱膜(きょきんけんまく)を縮めてずれを修復することで、まぶたを上げる手術です。上眼瞼挙筋と瞼板(けんばん)の間にある腱膜がのびている場合に行います。
挙筋前転術は、上まぶたの皮膚を切開し、たるんだ腱膜や筋肉を前方に引っ張り、細いナイロン糸で瞼板に縫い付けて短縮します。挙筋短縮術は、のびてしまった腱膜を瞼板から一度はがし、腱膜の一部分を短く切除してから瞼板に縫い付けます。
これらの腱膜のたるみを改善する手術によって、上眼瞼挙筋の力がしっかりと瞼板に伝わり、しっかりまぶたが開くようになります。まぶたの皮膚が弛緩してたるんでいる場合は、皮膚切除術を併せて行います。
まぶたがたるみ、余分になった皮膚を切除することで、垂れ下がりを改善する手術です。まぶたを上げる上眼瞼挙筋や腱膜は機能しているものの、まぶたの皮膚のたるみが強く、下垂している場合に行います。二重(ふたえ)など、まぶたの皮膚を切除する場合と、緩んだ皮膚を眉毛の下で切除する場合(眉下切開)があります。
上眼瞼挙筋腱膜自体の機能低下が顕著で、挙筋前転術などでは改善できない重度の眼瞼下垂に対して行われます。前頭筋(おでこの筋肉)を利用してまぶたを上げる方法で、眉毛の上とまつ毛の上の2カ所を切開して、まぶたの皮下に紐を移植し、ひたい部分にある前頭筋とまぶたを連結します。移植する紐は、大腿部(ふともも)から採取した筋膜を紐状にしたものを用いることが一般的です。前頭筋の力で眉毛を上下させると、その動きが紐を介してまぶたに伝わり開閉できるようになります。
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手術決定
診察・問診により、まぶたを診断させていただき、手術の適応を判断します。手術適応の場合、患者様のまぶたの状態に応じた適切な手術方法を選択のうえ、手術日を決定します。
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術前検査
術前検査として、視力・眼圧・屈折検査・視野検査などの目の検査と、血液検査や心電図検査で全身的に問題がないかを確認します。
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手術前
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手術
心電図や血圧計を装着し、消毒をして手術を開始します。まぶたの状態によって手術時間は異なりますが、片眼で20~30分程度です。痛みは最初にまぶたにする局所麻酔以外はありません。当院では局所麻酔においても極細針の使用や麻酔薬の工夫により、痛みの軽減を図っています。
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手術後
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手術後の診察
術後約1週間で抜糸となりますので、通常、1週間後にご来院いただきます。目の周りのメイクは、抜糸後とくに問題なければ可能です。ソフトコンタクトレンズはこの頃より装用可能ですが、ハードコンタクトレンズは再発リスクがあるためご相談ください。
1カ月後に創部のチェックなどの経過観察を行い、治療終了となります。
当院では保険診療による眼瞼下垂手術となるため、美容目的での手術は行っておりません。まぶたが瞳にかかることによって生じる視力低下や視野狭窄など、機能的な障害を起こしている患者様を治療対象としております。
眼瞼下垂の手術内容や症状などでご不明なことがありましたら、お気軽にご相談ください。